足湯による体温変化について

足湯の有用性に関して、興味深い発表がありましたので、御紹介します。


小笠原充宏・小笠原真澄 医療法人楽山会大湯リハビリ温泉病院


[はじめに] 温泉ブームを契機に、全国各地で気軽な健康 法として足湯が人気を集めている。足湯は、服 を着たまま何処でも手軽に行える、体全体が温 まり全身の血行が良くなる、循環系への負担が 少なく高齢者にも安心して行ってもらえるな ど、足湯は、誰でも何時でも気軽に楽しめる事 が人気を集める理由と考えられている。 足湯 を健康法の一つとして捉えるのであれば、その 評価方法を確立する必要があると考える。そこ で、当法人が運営する複合型介護施設において も、開設当初より、利用者の皆様に足湯を愉しむ機会を提供するとともに、前後の体温測定を継続的に行ってきたので、その分析結果を報告する。


[方法] 1.対象者 当法人が運営する複合型介護施 設の利用者男性 50 名、女性 143 名の計 193 名。 2.測定方法 施設内に設置された 42℃の足湯 に、20 分間下腿を浸からせ、その前後にオムロ ン社製電子体温計 MC-670 を用いて腋下体温を 測定した。


[成績] 3ヶ月以上継続して足湯を利用した方のデー タを使用して分析したところ、足湯によって体 温は平均 0.7℃上昇していた。 全データの分布 をみると、いくつかのグループに分けられるこ とから、更に分析を行うと、脳血管障害の既往 があるグループの足湯後の体温上昇が平均 0.4 度であったのに対し、既往のないグループは 0.8度上昇していた。


[考察] 脳血管障害の既往が、同条件下での体温上昇 抑制の要素であることが推察された。


日温気物医誌第 76 巻 1 号 2012 年 11 月
第 77 回日本温泉気候物理学会総会一般演題抄録 No.35

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